世界の果てに - 百年の光 -
∴手を伸ばせば、そこに
………やられた。
窓ひとつない閑散とした部屋で、あたしは項垂れていた。
床の穴から落ちたあたしは、そのまま滑り台のようなものを猛スピードで滑り、この部屋に落下した。
上手く働かない頭でも一つだけ分かるのは、この部屋は…牢屋だということ。
「…捕まったの?あたし」
乾いた笑い声が漏れるけど、全然笑い事じゃない。
窓はないし、扉は鉄格子で固く閉ざされている。
辺りは静かだから、きっとこの牢屋は今は使われていないんだ。
…ってことは、だよ?
誰かがここに来る可能性なんて…ないってことだよね?
「いや―――!誰か―――ッ!」
鉄格子を掴んでガタガタ揺らしても、効果は全くなかった。
もしかしたら、この牢屋は無駄に防音完備がしてあるのかもしれない。
早々と諦めたあたしは、黙って冷たい床に丸まった。
せっかくお城に来たのに、牢屋で過ごすなんて酷すぎる。
「デューイくんのバカ…」
王子をバカにするなんて、それこそ捕まりそうだけど。
それでも今のあたしの現状は、紛れもなく彼が作り出したものだ。