世界の果てに - 百年の光 -
「何言ってんだ。お前がこんなとこにいるってことは、アスティにも何かしらあったってことだろ」
「だから!」
突然声を張り上げたあたしに、エルはますます眉をひそめた。
「だから…怖いの!アスティが、このままこの国に残るんじゃないかって…」
「………」
「エルも…エルも、このままどこかに行っちゃうんじゃないかって」
自分が何を言ってるのか、あたし自身ですら分からなかった。
ただ…また独りになってしまいそうな、そんな気がした。
服をぎゅっと握りしめたままのあたしに、エルはため息をつく。
「…少しの時間なら、変わんねぇか」
そう呟くと、エルがいきなりあたしの頭をぐしゃっと撫でた。
「っ、な…」
「いいか。俺はこれから、独り言を言う」
「え?」
「聞くも聞かないも、お前次第だ」
エルの瞳を、真正面から捉える。
吸い込まれるように、あたしはその瞳を見ながら頷いた。
これからエルが紡ぐ言葉を聞かなきゃいけない…そんな予感がした。
「…あれは、俺が盗賊になってから、三年目の夏だった」
エルはあたしを見ながら、ゆっくりと話し出した。