世界の果てに - 百年の光 -

―――盗賊になって、三年目の夏。


現在から数えれば、八年前。


俺は、このメルティアスにやって来た。


「おいおっさん、換金所はどこだよ」


俺は、たまたま近くにいたおっさんに問い掛けた。


当時、十一だった俺は、そいつから見ればまだまだ子供。


そいつは眉をひそめ、俺をまじまじと見つめた。


「あぁん?換金所って、おめぇ…ガキの行くとこじゃねぇぞ」


「いいから。さっさと教えろよ」


俺の態度に、おっさんのこめかみがピクリと動く。


「…生意気なガキめ。あの細い通りを真っ直ぐ行った突き当たりだ」


おっさんが指差す先を確認すると、俺は礼も言わずに背を向けた。


背後で文句を言う声が聞こえたが、無視。



狭い通りを抜けると、確かに換金所はそこにあった。


中に入ると、新聞を広げていた店主の男が顔を上げた。


「どうした坊や、迷子かい?」


その言葉に、俺はあからさまに顔をしかめる。


どいつもこいつも、ガキ扱いしやがって。


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