世界の果てに - 百年の光 -
俺は腰の巾着を外すと、カウンターの上にドサッと置いた。
眼鏡の奥で、店主の目が見開かれる。
「すごいな。こんなにたくさん…銅か?」
「銀もある」
俺のぶっきらぼうな答えに、店主は苦笑した。
「分かった。ちょっと待ってろ、坊や」
数十分後、俺の巾着は硬貨で重くなった。
換金所を出ようとしたそのとき、朗らかなラッパの音が鳴り響いた。
「…何だ?」
思わず呟いた俺に、店主が「ああ、生誕祭だよ」と言った。
俺が振り返ると、店主は続ける。
「今日は、この国の第一王子、アスティ様の誕生日なんだ」
「…へぇ」
「城下町に行けば、いろいろな催し物が行われてる。ここから近いし、行ってみるといい」
店主の提案に曖昧な相槌を返し、俺は換金所を出た。
生誕祭、か…国民全員に祝われるなんて、大層な身分だな。
俺は鼻を鳴らすと、賑やかな方へ向かって歩き出した。
暫く歩くと、町並みは変化し、至るところに装飾が行われていた。
出店も多くあり、人がごった返している。