世界の果てに - 百年の光 -
その奥に、太陽の光を受けて輝く、大きな城があった。
あまりの眩しさに目を細めて見ていると、最上階のバルコニーが開く。
途端、歓声が上がった。
「きゃあぁぁー!アスティ王子ー!」
「アスティ様、おめでとうございます!」
歓声に導かれるようにして姿を現したのは、俺と同じくらいの歳の少年。
高そうな服を見に纏いながら、穏やかな笑顔を浮かべている。
「―――…」
一瞬、目を奪われた。
想像していた王族の人間とソイツは、あまりにもかけ離れていたから。
気品とか、威厳とか、そういうのじゃなくて。
それでも、伝わってくる何かがあった。
王子は何かを話すわけでもなく、笑顔で手を振り、数分後には城の中へと消えた。
その姿をぼんやりと眺めながら、王族もいいことばっかじゃないんだな、と思った。
誰にでも愛想振りまくなんか、俺には一生かかっても無理だ。
「………」
未だに賑わいを見せる大通りから、俺は逃げるように抜け出した。
この三年の間、それなりの数の国を回ってきたが、王族をこの目で見たのは始めてだった。
…俺は何故か、衝撃を受けていた。