世界の果てに - 百年の光 -
ガチャリ、と金属音が響く。
「!おいっ…、」
「盗賊、辞めないんでしょ?顔見れば分かるよ」
アスティは牢屋の鍵をくるくると指先で回しながら、鉄格子の扉を開いた。
盗賊を逃がそうとしているのに、その口元は笑っている。
「おいアスティ、やめろ。んなことしたら…」
「エル。俺は、エルを逃がそうとしてるんじゃないよ」
じゃあ何だ、と眉をひそめると、アスティが開いた扉から中に入ってくる。
まさか、一緒に捕まる気じゃないだろうな。
アスティの真意が分からずにいると、俺の目の前に立ったアスティは、片手を俺の方へ伸ばした。
そして。
「―――オレも、一緒に連れてって」
微笑みながら、信じられない言葉を口にした。
「……っな、…」
俺は上手く言葉が出ずに、アスティを見た。
幻覚かと思ったが、何度瞬きしても消えないってことは、現実だ。
「…おいアスティ、冗談やめろ。考えてもみろ、お前はこの国の王子で…」
「考えたよ」
俺の言葉を遮って、アスティが言う。