世界の果てに - 百年の光 -
そして、嬉しそうに俺の手を握り返した。
「うん。…よろしく、エル」
繋がれた手の温もりに、心が熱くなる。
誰かが側にいることは、強さに変わるんだと、改めて感じた。
「…つーかお前、どうやって父親に言うんだよ」
「ん?…んー…どうしよう」
「考えてねぇのかよ!」
「まぁ、大丈夫だよ。このまま逃げちゃおっか」
「そんなんじゃお前、盗賊逃がした罪人になるぞ。王子のくせに」
「逃がすんじゃなくて、オレも盗賊になるんだもん。罪人には変わりないよ」
「そんな暢気な…」
「そういえばエル、ケガ平気?」
「あん?んなもん治ったし」
「ははっ、不死身だ」
「大体なぁ、銃を振り回すなんざお前の城の教育どうなってんだよ」
「じゃ、行こうか」
「聞け!」
牢屋にそぐわない、楽しそうな笑い声が響く。
確かに感じたのは、これが俺の新しいスタートになるということだった。
…いや。
俺とアスティ、二人の―――…。