世界の果てに - 百年の光 -
∴歩む道
「―――これが、俺とアスティの出会いの全てだ」
静かに語り終えたエルは、視線を床に落とした。
「あの後、アスティは国王に別れは言わなかったんだ」
「…え?」
思わず声を出したあたしに、エルは視線を上げる。
「国王じゃなくて、チェディに言ったんだと。だからアイツ、今回国王に会うのを渋ってたんだよ」
本当バカだアイツ、とエルが言う。
「…俺だって、お前と同じだ。アスティが、この国に残りたいって言うんじゃないかって…恐れてる」
「………エル」
「笑っちゃうよな。心のどこかで、まだアスティを信じきれてないなんて」
自嘲気味に笑うエルに、あたしは少し怒りを覚えた。
だって、エルはアスティを、信じているはずだから。
「今の話を聞いた、正直な感想を言うけど、いい?」
同意を求めるように、エルの瞳を捉える。
あたしの言い方に眉をひそめながらも、エルは先を促した。
「よーく分かったのは、エルとアスティが、お互いを大好きなんだってこと」
「…あのな、やめろ気持ち悪い」
「だって本当のことでしょ」
今の話で、仲が悪いって言う方が難しい。