世界の果てに - 百年の光 -

∴歩む道



「―――これが、俺とアスティの出会いの全てだ」


静かに語り終えたエルは、視線を床に落とした。


「あの後、アスティは国王に別れは言わなかったんだ」


「…え?」


思わず声を出したあたしに、エルは視線を上げる。


「国王じゃなくて、チェディに言ったんだと。だからアイツ、今回国王に会うのを渋ってたんだよ」


本当バカだアイツ、とエルが言う。


「…俺だって、お前と同じだ。アスティが、この国に残りたいって言うんじゃないかって…恐れてる」


「………エル」


「笑っちゃうよな。心のどこかで、まだアスティを信じきれてないなんて」


自嘲気味に笑うエルに、あたしは少し怒りを覚えた。


だって、エルはアスティを、信じているはずだから。


「今の話を聞いた、正直な感想を言うけど、いい?」


同意を求めるように、エルの瞳を捉える。


あたしの言い方に眉をひそめながらも、エルは先を促した。


「よーく分かったのは、エルとアスティが、お互いを大好きなんだってこと」


「…あのな、やめろ気持ち悪い」


「だって本当のことでしょ」


今の話で、仲が悪いって言う方が難しい。


< 191 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop