世界の果てに - 百年の光 -
お互いが大好きで、大切な存在。
なのに、どこかが噛み合わないから、エルとアスティは悩んでる。
エルには盗賊を辞める道があったのに、自分が巻き込んで、盗賊を続けさせたと思っているアスティ。
一国の王子を、盗賊という自分の道に巻き込んだと思っているエル。
お互いが、お互いを自分の道に巻き込んだと思って。
そして、いつか離れていくんじゃないかと恐れてる。
「…エル」
名前を呼ぶと、エルは僅かに眉を上げる。
その仏頂面に苦笑しながら、あたしは言った。
「答えなんて、簡単だよ」
そう、答えは簡単。
けどエルとアスティは、すぐ足下にある答えが、見えずにいるだけ。
「…適当なこと、言うな」
「適当じゃないってば」
唸るように吐き捨てたエルに、あたしは口を尖らせる。
疑うような琥珀色の瞳を見て、続けた。
「―――エルとアスティの歩む道は、最初から一緒だったんだよ」
エルの瞳が、少しだけ見開かれた。
嘘じゃない。自信を持って、そうだと言える。