世界の果てに - 百年の光 -
「言っとくが、アスティはモノじゃねぇぞ」
「え?そんなの分かって…って、あたしもものじゃないんだけど!」
「お前はモノで十分だろ。ちびっこ」
「ものじゃない!ちびっこでもないってば!」
思わず怒鳴ってから、ハッとする。
ケンカなんかしてる場合じゃなかった!
「おら、行くぞ」
「…え?」
ふわり、と身体が浮いたかと思うと、視界がぐるっと反転する。
一瞬の出来事に理解できないまま見えたのは、どこか逞しい背中だった。
「う、え!? ちょっ…、」
「ごちゃごちゃうるせぇな。行くぞ」
「行くって、待っ…ひゃあぁ!」
エルが走り出すと、あたしの身体もそれに合わせて揺れる。
っていうか…何で担がれてるのあたし!
「…っ降ろしてよ!バカッ」
「あん?こっちのが早ぇんだよ」
「じゃあせめてお姫様だっこにしてよ!」
「誰がするか!お前なんかコレで十分だ」
結局は言い合いをしながら、あたしとエルはお城の廊下を疾走していた。