世界の果てに - 百年の光 -
「おい、何者だ!…止まれ!」
時折遭遇する兵士に止められても、エルは完全無視。
まぁ、まともに話し合ってなんかくれないと思うけど。
「エル…怖そうな人たちが、たくさん追いかけて来てる」
「気にすんな」
通り過ぎる度、あたしたちを追いかける兵士が増えていく。
早くアスティがいる場所へ行かないと、また捕まっちゃう。
「エル、アスティは…」
「だーっ、うるせぇな!もうすぐだっての!」
あたしはムッとしつつも、口をつぐんだ。
エルがもうすぐだって言うなら、もうすぐなんだ。
アスティがいそうな場所すら、あたしには分からないから、何とも言えないけど。
階段を駆け上がり、長い廊下を走った先に見えた、大きな扉。
その豪華な装飾から、直感的に国王の部屋なんだと思った。
ここにアスティがいるなら、そっか…ちゃんと、会えたんだ。
安心してる場合じゃないのに、ホッとせずにはいられない。
「………っし、着いた」
「ありがとエル、降ろし…」
扉を目の前にして、エルは立ち止まる。
そして、扉を鋭く見据えたまま、大きく深呼吸をした。
―――まさか、だよね?