世界の果てに - 百年の光 -
ちらりと、呆れたように肩を竦めるエルを見る。
…牢屋にいたリオを助けたのが、エルで。リオから理由を聞いて、ここに来た…。
頭で組み立てて導いた答えに、思わず微笑んだ。
そんな俺に、リオが声を上げる。
「アスティ!笑い事じゃないっ!」
「あはは、ごめん」
…だって、嬉しいんだよ。
二人して、オレを迎えにきてくれたことが。
「デューイ」
言葉に詰まっている様子のデューイの名前を、オレは呼ぶ。
向けられた視線に答えるように、オレは微笑んだ。
「オレはやっぱり、この国には戻れない」
「…兄さん」
「ひどいことだって、分かってる。でも…」
オレはそこで言葉を区切ると、エルとリオに視線を移す。
腕を組み、真剣な眼差しを向けるエル。不安げに、眉を下げてオレを見つめるリオ。
「…でも、オレは二人が大好きだから。歩む道は、二人と一緒がいいって決めた」
二人といると、自然と笑顔が零れる。
オレを"王子"としてじゃなくて、"アスティ"として見てくれる。
―――こんなに幸せな道は、他にはない。