世界の果てに - 百年の光 -
デューイは暫くオレをじっと見たあと、諦めたように笑った。
「やっぱり敵わないや、兄さんには」
ごめんとも、ありがとうとも言えなかった。
代わりに微笑んで、デューイの頭をポンポンと優しく撫でる。
「―――国王様!」
その時、チェディが慌てるように部屋に飛び込んできた。
エルとリオがいることに、一瞬目を見張ったけど、すぐに父さんの元へ駆け寄る。
「…どうした、チェディ」
「アスティ王子が仰る通り、ユランに便りを出したところ、既に便りを受けていたセレエで、病人を診察していたそうでっ…」
肩で息を切らしながら、チェディは顔を輝かせた。
「…原因が分かったそうです!助かるんです、セレエの国民も、貴方も!」
その報せに、父さんは目を見張ると、フッと微笑んだ。
「…そうか」
小さく呟くと、父さんは俺たちに視線を向ける。
「…アスティ。お前のおかげだ…ありがとう」
「ううん。…良かった」
「…それから、デューイ」
名前を呼ばれたデューイは、びくんと肩を震わせた。
父さんが助かると聞いて安心したのか、瞳が僅かに潤んでいる。