世界の果てに - 百年の光 -
∴運命というもの
パタン、と小さな音を立て、扉が閉まる。
チェディさんの部屋に案内され、あたしたちはそれぞれ席に着いた。
大臣だということもあり、十分立派な部屋だった。
数ある本棚には、難しそうな本がずらりと並べられている。
「…お話を伺う前に、私から一つだけ、質問してもよろしいですか?」
チェディさんの唐突な言葉に、あたしは瞬きを繰り返す。
「え…あたしに、ですか?」
自分を指差しながら訊ねると、チェディさんは頷く。
何だろうと眉をひそめるあたしの耳に、次に飛び込んできた言葉は、信じられないものだった。
「―――貴女は、この世界の人間ではありませんね?」
…あまりの驚きで、声が出ない。
聞き間違いなんかじゃない。チェディさんはハッキリと言った。
あたしが、この世界の人間じゃないと―――…
エルとアスティも、目を丸くしてチェディさんを見ていた。
今まであたしを見て、それを言い当てた人はいない。
でも…
チェディさんは、何かを知ってる…?