世界の果てに - 百年の光 -
心臓が、どくんと脈を打つ。
今まで影すら掴めていなかったものが、急に形になって、目の前に現れたような気がした。
「…どうして、分かったんですか…?」
僅かに震える声で訊ねると、チェディさんはあたしから視線を下に降ろす。
「その、ブレスレットです」
「え…」
「物凄く強力な、魔術がかけられています」
毎日のように腕につけていて、体の一部のようになってしまっていたブレスレットに、視線を落とす。
そんなに、強力な魔術なんだ…でも…
「そのブレスレットの魔術が強いことと、コイツが異世界の人間であること。何が関係してんだ?」
あたしの疑問をそのまま口にしたのは、エルだった。
チェディさんは、少し困ったように眉を寄せる。
「それは……以前、同じような魔術にかけられたブレスレットを、見たことがあるからです」
「ブレスレットを?」
「はい。…ブレスレットの、持ち主も」
ブレスレットの持ち主。それは、つまり…
「…あたしと同じ、異世界の人間に会ったんですか?」
チェディさんが、ゆっくりと頷いた。