世界の果てに - 百年の光 -
そのブレスレットに魔術をかけたのは、フィオだった。
オーガが自由に旅をすることを許す代わりに、その居場所が分かるようにしろと、オーガの父が命令した。
そのブレスレットの魔術の根源を探すことで、オーガが見つかる仕組みである。
もちろん、ブレスレットは外れない。
「で?お前が来たってことは、何かあるんだろ?」
その問いに、フィオは「はい」と返事を返すと、真剣な顔つきになった。
「実は…オーガ様に、お訊ねしたいことがあります」
「言ってみ」
「黒髪の少女を、見かけませんでしたか?」
フィオの言葉に、オーガは目を丸くした。
てっきり、もっと深刻な質問が飛んでくるかと思えば…黒髪の、少女?
「…悪いが、見てない」
「そうですか…」
フィオはがっくりと肩を落とす。
オーガは訳が分からず、眉を寄せた。
「何?その子がどうしたってわけ?」
「………」
フィオは何も答えず、オーガを人気のない場所まで連れて行った。