世界の果てに - 百年の光 -
それでも納得がいかずに、反論の声を上げようとするあたしを、エルが呼び止める。
「おいちびっこ。お前らが何話してんか知らねぇが…」
エルは牛乳の入った瓶を手に取ると、それをあたしに投げた。
反射的に、あたしはそれを受け取る。
「…俺たちが、クリスを放っとくとでも思ったか」
「………っ」
「俺たちのがお前より、クリスと長い付き合いなんだよ。お前を元の世界に帰したあと、魔術師取っ捕まえて魔術解かせる。以上」
「エル…」
「余計な心配すんな。そんな暇あったら牛乳飲んで背ェ伸ばせ」
いつものような、憎まれ口。
でも、最近分かったのは、それがエルの優しさだということ。
あたしは苦笑すると、エルに投げ渡された牛乳を一気飲みする。
「よーし、うじうじ悩むのはもうやめた!助かるよね!あたしも、クリスも!」
『はい!』
「わお、リオ男前~」
「こんなチビで貧弱な男はいらねぇな」
そこからいつもの日常に戻るのは、あっという間だった。
結局助けられるのは、いつもあたしだけど。
ありがとう、みんな―――…