世界の果てに - 百年の光 -
巨大なトカゲなんて、可愛く思えるかもしれないけど。
歯は鋭く尖っているし、背中の刺は毒々しく光っている。
それに、切れ長の赤い瞳は…獲物を捉えたかのように、あたしをじっと見ていた。
「―――――!!」
声にならない恐怖が、一瞬であたしを支配する。
巨大なトカゲは、喉の奥から唸り声を出すと、あたしに近付いて来る。
一歩を踏み出す度に、その重みで地面が揺れた。
ここは行き止まり。
逃げ場は…ない。
今日ほど、神様を恨もうと思ったことはなかった。
一日に二回も、命の危険に晒されるなんて…どうかしてる。
でも今回は、諦めるしかなかった。
…助けてくれる人なんて、誰もいない。
巨大なトカゲはあたしに狙いを定めると、その大きな口をパックリと広げた。
鋭く尖った歯が、ズラリと並んでいる。
きっとあたしなんか、丸飲みなんだろうな。
そしたら、痛みなんか感じなくて済むかな…。