世界の果てに - 百年の光 -
薄暗い、洞窟のような場所だった。
足元は地面で、所々に大きな岩が転がっている。
その中の一つに、男の子は腰掛けていた。
「ここ?僕らのアジトだよ」
「…アジト?」
思わず眉をひそめるあたしに、男の子の視線が向く。
「そう。仲間は今外に出てるけど、もうすぐ帰ってくるよ」
仲間…何の?
嫌な汗が、こめかみを伝う。
そんなあたしに、男の子はまた笑った。
「そんなに緊張しなくても、もう手荒な真似はしないよ。君たちの荷台から、十分な収入は得たしね」
「……!」
その言葉で、あたしはもう一度、慌てて辺りに視線を走らせる。
…いない。アスティと、クリスが。
「おい、俺たちの仲間はどこだ」
とっくにいないことに気付いていたのか、エルが男の子を睨み付けて訊いた。
隣にいて、エルからすごい怒りが伝わってくる。
「ああ。栗色の髪の人と、白い馬なら安心して。放置してきたから」
エルを気にすることなく、男の子はしれっと言い放った。
放置って…あの場所に?