世界の果てに - 百年の光 -
………‥‥
ガタンゴトンと、不規則な音に揺られる。
たくさんの積み荷と一緒に、あたしとエルは運ばれていた。
「…は―――…」
もう何度目かすら分からないため息と共に、エルがあたしをちらりと見る。
はいはい分かってます。
分かってるけど、そうあからさまに嫌そうな視線向けないでください。
「……エルのハゲ」
「あん!?お前今何つった!?」
ポソッと小さく呟いた言葉に、エルが過剰に反応を示す。
体を大きく動かしたからか、振動があたしの左手に伝わってきた。
「ちょっと、ドタバタ動かないでよ。痛い」
「そりゃこっちのセリフだ!」
「あたしは大人しくしてるでしょ!」
お互い睨み合ってから、数秒で肩を落とす。
無駄な言い合いだってことが、嫌でも分かるから。
「…ったく、鍵の管理ぐらいちゃんとしとけよな」
エルのぼやきに、あたしは同意するように頷いた。
イーズくんが、あたしとエルを繋ぐ手錠の鍵を無くした。
…だからあたしたちは、離れられずにいる。