世界の果てに - 百年の光 -
ふざけんなと喚くエルを何とか宥め、あたしもエルと一緒に売られる、という形で話はまとまった。
残された問題は、あたしたちが無事に逃げ切れるかということ。
…片手が、繋がった状態で。
「ねぇ、エル」
「何だよ」
「これから、どこに向かうの?」
売られるって言っても、実感が沸かない。
世間ではこれを、人身売買とか言うんだろうけと、見たこともないし。
「…知らね。どっか人気のない場所じゃね?」
エルは肩を竦めると、投げやりにそう言った。
「どこだっていいだろ。すぐ逃げんだから、関係ねぇよ」
…さすが、エルというか何というか。
怖いとか、不安っていう感情は、エルの中にはないんじゃないかって思ってしまう。
まじまじと見つめていると、エルは「それより」と言ってあたしを睨んだ。
「分かってんだろうな。失敗したら終わりだからな」
敵意とも取れるようなその視線に、思わずごくりと喉を鳴らす。
そんなに睨まなくっても。
「わ、分かってるわよ」
あたしはただ、そう答えることしかできない。