世界の果てに - 百年の光 -

「ごめんね。だって、仲間が売られちゃうと思って。…とにかく、オレはケルンに止められたんだ」


「そこで俺が、経緯を説明した」


「エルとリオが、手錠で繋がってることと、わざと売られに行ってることを知ったんだよ」


ちびっこが少し唸り、寝返りをうった。


その動きを、腕を組みながら見たあと、アスティに視線を戻す。


「それで、追いかけてきたってワケか」


「うん。早く鍵を届けなきゃ、って思って…嫌な予感がしたから」


そこでアスティは、スヤスヤと寝息を立てているちびっこを見て眉を下げた。


「…もうちょっと、早く来れればよかったんだけど」


「いや、助かった」


本当に、あのときアスティが来なかったらと思うと…ゾッとする。


間違いなく俺とちびっこは、命を落としていただろう。


「オレ一人でいいって言ったのに、イーズが僕たちも行くって聞かなくて…」


「だって、もとはといえば僕たちのせいでしょ?」


「だったら最初から、俺たちに手ぇ出すなよ」


ため息と共にそう言うと、イーズが頬を膨らませる。


「しょうがないじゃん!たまたま狙ったのが君たちだったんだから!」


たまたま狙われたこっちの身にもなれ。


…って文句は、取り敢えず呑み込んだ。

< 269 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop