世界の果てに - 百年の光 -
「ごめんね。だって、仲間が売られちゃうと思って。…とにかく、オレはケルンに止められたんだ」
「そこで俺が、経緯を説明した」
「エルとリオが、手錠で繋がってることと、わざと売られに行ってることを知ったんだよ」
ちびっこが少し唸り、寝返りをうった。
その動きを、腕を組みながら見たあと、アスティに視線を戻す。
「それで、追いかけてきたってワケか」
「うん。早く鍵を届けなきゃ、って思って…嫌な予感がしたから」
そこでアスティは、スヤスヤと寝息を立てているちびっこを見て眉を下げた。
「…もうちょっと、早く来れればよかったんだけど」
「いや、助かった」
本当に、あのときアスティが来なかったらと思うと…ゾッとする。
間違いなく俺とちびっこは、命を落としていただろう。
「オレ一人でいいって言ったのに、イーズが僕たちも行くって聞かなくて…」
「だって、もとはといえば僕たちのせいでしょ?」
「だったら最初から、俺たちに手ぇ出すなよ」
ため息と共にそう言うと、イーズが頬を膨らませる。
「しょうがないじゃん!たまたま狙ったのが君たちだったんだから!」
たまたま狙われたこっちの身にもなれ。
…って文句は、取り敢えず呑み込んだ。