世界の果てに - 百年の光 -
∴傾く現実
異空間でティアラに会ってから、三日目の昼。
あたしたちは、サイリアに到着した。
「クリス、乗せてくれてありがとう」
『いえ。お安いご用です』
あたしはクリスが引く荷台から降りると、お礼を言って鬣を撫でた。
もう大丈夫、歩くからって言っても、アスティとクリスが許してくれず、あたしはずっと荷台に乗せてもらっていた。
エルだけは、「ほっといても死なねぇだろ」とか失礼なこと言ってたけど。
「さて、どうすっか」
荷台の荷物を確認しながら、エルがため息をついた。
「換金…するほどの量はまだねぇな。食糧調達すっか」
「そうだね。でも干ばつに遭ってるなら、食糧調達も難しそうだけど」
困ったように眉をひそめるアスティに、エルは頭を掻きながら視線を向ける。
「そん時はそん時だな。仕方ねぇよ」
荷台から降りると、エルがあたしをちらりと見遣る。
「…何?」
「留守番しててもいいんだぜ?」
意地悪く笑うエルは、まさに悪魔だ。
あたしの躊躇う気持ちを知ってて、わざとそう言う。