世界の果てに - 百年の光 -
「…そっちの畑はどうだい?」
「…何も変わらないよ。ただ枯れていくばかりさ」
耳に届く会話に、何度も振り返った。
ひどく落胆した様子を、あたしは唇を噛みしめながら見送る。
「リオ。そんな顔しないで」
「…アスティ」
「こうなったのは、リオのせいじゃないんだから」
ね?と同意を求められても、あたしは頷くことができなかった。
確かに、こうなった原因はあたしじゃない。
でも、いつまでも原因が解決しないのは…あたしのせいだ。
「…やっぱ、閉まってるか」
エルのため息に、俯いていた顔を上げる。
その先に、シャッターが降りたお店がいくつもあった。
「あれ、君たちは旅人かい?」
声を掛けられて振り返ると、少しふっくらとした体型のおじさんがいた。
エルは眉間にシワを寄せると、おじさんをじろじろと眺める。
「あんたは?」
「はは、何も怪しい者じゃないよ!私は、この国の住人さ」
おじさんは豪快に笑ってから、シャッターが閉まっているお店に視線を向ける。
「…ここは、賑わう商店街だったんだけどね。干ばつに遭ってから、この調子だよ」
悲しそうに微笑むおじさんに、胸が痛んだ。