世界の果てに - 百年の光 -
申し訳なさそうに、アスティが口を開く。
「…リオに出会ってから、一番最初の街で、オーガに会ったんだ」
「…うん」
「その時オレ…空から人が落ちてきたって話を、聞いたことないかって質問したんだ」
アスティらしい、訊き方だと思った。
異世界から来たって直接表現するわけでもなく、いざとなったら誤魔化せる言い方。
それでも、もし。
「その時は知らないって言ってたけど…もしかしたら…」
もし、その意味に気づいたとしたら―――…
「で、何て書いてあんだよ」
アスティの手から、エルが手紙を引ったくる。
文面をじっと見つめてから、すぐにアスティに押し返した。
「…何て?」
何か考えている様子のエルに、あたしは待ちきれずにそう問い掛けた。
「話したいことがあるから、ここから北にあるユピカで待つだと」
「ユピカ…」
「ユピカなら、歩いて三日あれば着くよ」
おじさんはそう言うと、「役目は果たしたから、私は去るよ」と笑って背を向けた。
「…どうもありがとう」
その背中に向かってアスティがそう言うと、おじさんは手をヒラヒラと振って去っていった。