世界の果てに - 百年の光 -
∴初めての街
世界で一番不幸な人物は?と訊かれたら、あたしはこう答える。
―――――あたしです、って。
「おーもーいいぃ~ッ!!」
ジリジリと太陽が地面を照りつける中、あたしは荷台を引っ張っていた。
昨晩、あのリザーダとかいうトカゲが出た場所で一泊すると、あたしたちは街へ向けて出発した。
…んだけど。
「おい、のろいぞ。速く歩け」
背後から掛けられた声に、あたしは勢いよく振り向く。
「うるっさい!エルのバカ!」
あたしはそう言って、思いきり舌を突き出した。
「あん?誰がバカだって?」
「あんたよ!こんなか弱い乙女に荷台引かせるなんて…鬼!悪魔!」
「乙女だぁ?…ハッ」
鼻で笑った―――!?
エルの傲慢な態度に、あたしの怒りは沸々と上昇していた。
「まぁまぁまぁ」
アスティがあたしの隣で、宥めるようにそう言った。
…口元は笑ってるけど。