世界の果てに - 百年の光 -
「はい、これ!きっちり七割!」
「だから、いらねぇって」
硬貨の入った巾着を差し出すイーズくんに、エルは眉をひそめる。
それでもイーズくんは負けずに、エルを睨んでいた。
「…ったく、何で引かねぇんだよ」
エルの盛大なため息に、イーズくんはさらに巾着を持つ手を差し出す。
「だって、僕たちは君たちに助けられたんだよ。…それに、これからは自分でお金は稼ぐって決めたし」
ニッと笑みを見せるイーズくんは、どこか楽しそうで。
エルも観念したのか、嫌そうな顔をしながらも、その巾着を受け取った。
「後悔すんなよ」
「しないよ!大金持ちになってみせる」
そこでやっと、エルが僅かに笑みを浮かべた。
「おい」
「え?…わっ!」
巾着を投げられ、あたしは慌ててキャッチする。
ずっしりとした重みを確認してから、エルを見た。
「ちょっと!危ないでしょ!」
「荷台に乗せとけ」
相変わらずの偉そうな態度に言い返そうとして、口をつぐむ。
エルがあまりに、優しい表情をしていたから。