世界の果てに - 百年の光 -
∴近付く真実
ユピカは、見る限り裕福な国とは言えなかった。
「…サイリアの影響かな」
立ち並ぶ家の間を歩きながら、アスティがそう言う。
あたしは辺りを見渡しながら、きっとそうだと思った。
枯れ果ててはいないけど、乾いた大地。
農作物が影響を受けているのは、きっとサイリアに近い国だから。
「つーか、そのオーガって野郎はどこにいんだよ」
エルが口を開くと、アスティは胸ポケットから手紙を取り出した。
「んー…。ここには、ユピカで待つとしか書いてないんだよね。裏にも何もないし」
眉をひそめながら、アスティは手紙を裏返している。
その時、あたしはアスティの左手の封筒に気をとられた。
光で封筒の中が透け、小さな影が出来ている。
「…アスティ、それ」
「ん?」
あたしが指差すと、アスティの視線が手元に向けられ、すぐに驚きの表情に変わる。
封筒から取り出されたのは、小さな紙切れだった。