世界の果てに - 百年の光 -
「ちょっ、何…」
「早く行くぞ。今ここでの、自分の立場を考えろ」
真剣なその表情に、口をつぐむ。
今ここでの、あたしの立場…?
「コイツの世話は任せろ」
眉をひそめるあたしを無視して、エルはアスティに言う。
「くれぐれも、無茶はすんなよ」
「…うん、大丈夫」
ふわりと優しく、アスティが微笑んだ。
あたしが何か言うより先に、エルがぐいぐいと腕を引く。
「ぼけっとしてんな。行くぞ」
「え、待っ…、アスティ!」
エルに引きずられながらも、あたしは紫色の瞳を捉える。
「あたしのために、無茶はしないでね…!」
必死の訴えに、アスティはただ、目を細めて笑った。
アスティから離れたところで、あたしはエルを睨む。
「…何でアスティを、一人にするの」
エルはそんなあたしの視線に気付かないかのように、前を見据えている。
「言ったろ、前に」
そう言ってから、視線だけをあたしに移す。