世界の果てに - 百年の光 -
「オーガに会うのは、アスティだけだ」
その言葉には、何の感情も込もってないように思えた。
まるで…心配なんかしていないと、自分に言い聞かせるかのように。
少しだけ気分が落ち着いて、あたしは言うはずだった言葉を変える。
「…あたしの、立場って何?」
エルは視線を前に戻すと、ため息をつく。
「オーガは、お前の容姿を知ってる可能性が高い。そいつがいるこの国で、うろうろすんのは危険だってことだ」
「………」
「相手はアスティも知ってるし、一緒にいる所を見られたらまずいだろ。あくまでもアスティは、お前のことを知らないフリしてオーガに会うんだから」
そこまで回転しなかった自分の頭に、嫌気がさす。
あたしなんかより、エルとアスティは、この件の危険性を考えているんだ。
「……ごめん」
ポツリと呟くと、エルの視線を感じた。
その瞳を見れずに、あたしは俯く。
「お前は、お前の心配だけしてりゃいいんだよ」
降ってきたのは、勿体ないくらいの優しい言葉だった。