世界の果てに - 百年の光 -
真っ赤に揺れる液体は、見ていて良い気分にはならなかった。
「アスティ。お前は俺に、空から落ちてきた人の話を、聞いたことないかって言ったよな」
「………」
―――きた。
そう思ったけど、顔に出すわけにはいかず、平静さを装う。
「そん時は、特に気にならなかった。…けど、状況は変わったんだ」
真剣な瞳が、オレを探る。
その瞳は、オーガが何もかも知っているんだと、分からせるには十分だった。
「単刀直入に言う。アスティ、お前は…異世界から来た人間と、一緒にいるな?」
確信を、含んだ言葉。
それでもオレは、認めるわけにはいかない。…オーガの手の内が、分かるまで。
「何を勘違いしてるのか分からないけど、知らないよ」
そう言うと、オーガが眉を寄せた。
「確かに、オレはオーガにそう訊いた。けどオレが見たのは、普通の人間だったんだ」
畳み掛けるように、ハッキリとそう口にする。
少しでも動揺すれば、そこで終わりだ。