世界の果てに - 百年の光 -
一度伏せた瞳を、オーガはオレに向ける。
「俺は世界を救うなら、誰の命も犠牲にはしたくない」
真っ直ぐな、芯のある眼差し。
オレの周りには、自分に正直に生きる人ばっかりだ。
「…それで、オレを呼んだ目的は?」
口許を緩めて、オーガに訊ねる。
きっと、リオを差し出せとか、そんなことは言わないだろうと思った。
「協力…してもらいたいんだ」
「…協力」
「生け贄なんて方法をとらずに、世界を救うために」
オーガの手は、空になったグラスを掴んだままだった。
その手に力が込もっているのを見て、オレはフッと笑った。
「…最初からオレたちは、そのつもりだよ」
一瞬、オーガの瞳に驚きが映る。
「リオは、生け贄になんてさせない。―――絶対に」
そう、絶対に。