世界の果てに - 百年の光 -
ずり落ちかけた眼鏡を直してから、思い出すようにうーんと唸る。
「長身の、男だったねぇ…黒い帽子をかぶっていて、髪は金で…そうそう、眼は灰色だったよ」
「………分かった」
一言そう言って、俺は宿を出た。
この事件の犯人、そしてちびっこを狙った目的が、答えとなって頭を過る。
「……クソが」
そう吐き捨て、地面を蹴った。
「―――――アスティ!」
大声を上げながら酒場に入る。
辺りは一瞬静まったものの、すぐに何事もなかったかのように宴会は続いた。
暑苦しい人混みの中から、こっちを驚いた顔で見つめる相棒を見つける。
「…おいアスティ、急用だ!」
「エル?何でここに…急用?」
きょとんとしたまま、アスティは俺を見上げた。
それと同時に、別の視線が送られていることに気付く。
「…お前か、オーガってのは」
アスティの隣に座る男。睨みを効かせると、可笑しそうに笑う。