世界の果てに - 百年の光 -
「随分と短気だなー。何、アスティの仲間?」
「あん?誰が短気だっ…」
「エル、抑えて。オーガは敵じゃないから」
アスティに宥められ、俺は言葉をぐっと詰まらせる。
短気とか短気じゃないとか、敵だとか敵じゃないとか、今は言い争ってる場合じゃない。
「…ちびっこが、拐われた」
事実だけを告げると、アスティの眉がピクリと動く。
口を開きかけたアスティよりも早く、オーガが声を発した。
「リオちゃんが?」
―――――リオちゃんだぁ?
その馴れ馴れしい呼び方に、俺は思わず言葉を失った。
そんな俺を知ってか知らずか、アスティが普通にオーガと話している。
「まさか…リオの存在が」
「いや、彼女を捜せと言われてるのは、俺だけのはずだ」
「じゃあ、一体…エル?」
あんぐりと口を開けたままの俺を、アスティが不思議そうに見た。
言いたいこと聞きたいことは山程あったが、もうこの際全てが終わってからでいい。