世界の果てに - 百年の光 -
俺は手短に、宿での出来事を話した。
老婆が目撃した人物像の話になると、アスティの表情が曇る。
「…ねぇ、エル。それってもしかして…」
「ああ。その通りだろーな」
アスティが言いたいことが十分すぎるほど分かる俺は、そう頷いて返す。
一方、オーガは訳がわからないと言うように眉をひそめていた。
「でも、何で?神隠しをずっと行ってたってことでしょ?何のために…」
「それは分かんねぇよ。ただ、アイツが俺たちといるちびっこを見ていたなら、それに乗じて拐ったのも頷ける」
「…話が全く見えないんですけど」
お前に話すことはねぇ!と怒鳴りたい気持ちをぐっと抑え、オーガを見る。
「おいてめぇ、腕に自信はあんのか」
少しだけ目を丸くしたあと、オーガは口元に笑みを浮かべた。
「あるさ。伊達に放浪してないんでね」
「ふーん。よし、行くぞアスティ。ついでにお前もついて来いよ。逃げられたら困るからな」
一睨み効かせても、オーガは何故か笑っている。
行く宛はあるの?というアスティの言葉を無視し、俺は足早に酒場の出口へと向かった。