世界の果てに - 百年の光 -
「驚いた?」
「と、盗賊って…」
「でも、もう昔の話だよ。それよりも君の名前が知りたいな」
スッと伸びてきた手のひらが、あたしの髪に触れる。
ぞわっとした感覚が、またあたしを襲った。
「―――っ、りりり、莉緒ですっ!」
ほぼ叫ぶようにそう名乗り、思いきり身体を引いた。
その反動で、あたしはドテッという情けない音と共に、地面に倒れ込む。
「リオね、よろしく。…そんなに嫌がらなくても」
ダルクは悲しそうに眉を下げた。
そんな様子も、物凄くかっこいいはずなのに…何故か、あたしは彼を受け入れようとしない。
「ご、ごめん。…ところで、何であたしを拐ったりしたの?」
取り敢えず謝ってから、肝心な部分を訊いた。
あたしの部屋を訪れ、急に口を塞いで、大きな袋に入れて担ぎ出した、その理由。
「―――――ああ、リオだけじゃないよ」
………は?
ポカンと口を開けるあたしの前で、にこにこしているダルク。