世界の果てに - 百年の光 -
聞き間違いかと思い、もう一度口を開こうとしたところで、別の声が響いた。
「ダルクー!そこにいるの…あれ?」
ひょこっと現れたのは、艶やかな金髪を腰まで垂らす美少女。
つり目がちのグレーの瞳が、あたしを見て見開かれた。
「ちょっと!またあんた拐ってきたの!?」
眉をつり上げ、ズカズカとあたしたちの所までやって来る。
ちらりとダルクを見遣ると、悪びれもなく笑っていた。
「だって、ユーリ。リオは…」
「だってじゃない!あんたのその女癖どうにかしてよ!ただでさえ、もう何人もここに残ってるのに!」
怒鳴る美少女…ユーリと呼ばれた子は、どこからどう見ても。
「きょ、兄妹…?」
恐る恐るそう口にすると、ダルクが「そうだよ」と頷く。
「僕は二十三で、ユーリは十八。このユピカに住むようになって、もうだいぶ経つんだけど…」
「呑気に自己紹介してる場合じゃない!早く帰してきなさい!また神隠しだなんて言われるでしょっ!」
ユーリの最後の言葉に、あたしは反応を示す。
神隠しって…そう言った?
「ちょ、ちょっと待って!」
思わずそう言うと、ガミガミと文句を言うユーリが口を閉ざす。