世界の果てに - 百年の光 -
そこで初めて、ユーリはあたしに興味を持ったようだった。
「何?…っていうか、黒髪なんて珍しいわね」
「神隠しって…ダルクの仕業だったの?」
じろじろ見られながらも、そう訊ねる。
ユーリは腰に手を当て、ダルクを振り返った。
「そうよ。バカダルクが、気に入った女の子を拐って来るのよ」
「恋愛は自由だろ?」
「だからって間違ってんでしょ!」
あたしもそう思うけど、どうやらダルクは間違いとは思ってないらしい。
「…で、性格はともかく、この容姿でしょ?女の子たちの方まで夢中になっちゃって、家に住み着き始めたのよ」
ユーリが心底呆れたようにため息をつき、肩を竦めた。
つまり、それが…神隠しの正体?
「………」
あたしは何も言えず、脱力感だけが残った。
ユーリの瞳が、少し心配そうにあたしを見る。
「…まさか、あなたもダルクに惹かれた、なんて言わないわよね?」
「ええ!? まさか!」
勢いよく否定すると、ダルクがしょんぼりした顔を向けてきた。