世界の果てに - 百年の光 -
う。そんな顔されても、いきなり拐われたのに好きになんかなれない。
「ほら、早くこの子帰してきてあげなさい!」
「嫌だ」
「嫌だ、じゃない!」
端から見たら、もうどっちが年上なのか分からない。
それよりも、ダルクはあたしを帰す気ないみたいだし…どうしよう。
こうなったら、走って逃げるしか…って、この位置からじゃ捕まるだけじゃない!
ぐるぐると動く思考の中に、浮かんだのはエルとアスティ、それにクリスの顔。
アスティは、今も大事な話の最中だろうし、エルは…もう寝てるかもしれない。
クリスは馬小屋に繋がれてるし、あたしが拐われたという事実は、きっとまだ誰にも気付かれていない。
「………っ」
帰りたい。その想いが増し、涙腺に響いた。
未だに怒鳴られているダルクが、ふとあたしに視線を向けた。
「大丈夫だよ。彼らなら必ず、リオを助けに来てくれるから」
微笑まれ、あたしは思わず涙が引っ込んだ。
彼ら、って…今、そう言った?