世界の果てに - 百年の光 -
それなのに、選ばれし者とか言われても、ピンとこない。
「すごい力を秘めてるとか、ないの?」
「あたしが?絶対ないよ」
「リオが気づいてないだけかもよ」
「えー…、そんなこと…」
「ごっほん、」
わざとらしい咳払いが後ろから聞こえ、あたしはアスティとの会話を中断して振り返った。
エルが荷物の上で胡座をかきながら、あたしを睨んでいる。
「無駄口たたくなっつってんだろ」
「あーはいはい」
うんざりしてそう返すと、頭にきたのか、エルのこめかみがピクリと動いた。
「…お前が選ばれたとかそうじゃないとか、どっちにしろ魔術かけたやつは残念だな」
「どういう意味よ」
エルの視線に負けじと睨み返すと、エルはバカにしたように笑った。
「お前みたいなやつを呼んで、状況が良くなるわけないしな」
さすがのあたしも、そこまで寛大な心は持ち合わせていなくて。
この言葉に、あたしの怒りの糸は見事に切れた。