世界の果てに - 百年の光 -
驚きと戸惑いを瞳に浮かべたまま、エルが口を開く。
「…リュウ…?冗談だろ」
「冗談じゃないわ。確かにリュウさんは、うちに来たのよ」
ダルクより早く、エルの腕にしがみついていたユーリが答えた。
何もかも分かっていて、エルを労るようなその表情に、ズキンと胸が痛む。
パッと視線を逸らすと、複雑そうにエルを見るアスティが視界に映った。
「……なんて?」
普段からは想像できない、エルの小さな声が響く。
視線を戻すと、ダルクは眉を下げて言った。
「活動を…"月の咆哮"を、再開するんだって。単純に、僕らは誘われてるんだよ」
「………!」
こんなに動揺を表すエルを、あたしは初めて見た。
月の咆哮って…確か、エルと手錠で繋がったときに、何回か聞いた単語だ。
その言葉が何を意味するのか、未だに分からないけれど。
「…俺は、戻る気はもうない」
エルは拳を握りしめたまま、ユーリの腕を振りほどき、背を向けた。
そのまま何も言わず、歩き出す。
「……エルッ!」
あたしはエルを呼ぶと、消えてしまいそうな背中を追いかけた。