世界の果てに - 百年の光 -
お?というような表情をしたローアンに向かって、一気に斬りかかった。
手加減なんて微塵もせず、思いきり。
…けれど、気づけばローアンの姿はそこにはなく、俺の剣は虚しく空を斬っただけだった。
「スピードは悪くない。…が、経験の違いがモノを言うなー」
クスクス笑いが背後から聞こえ、俺は眉をつり上げながら振り返る。
案の定、涼しい顔で立っていたローアンに、腹立たしい以外の何も思わなかった。
「…うっせぇ、おっさん!」
「おっ!?お前な、仮にも親に向かって…」
「はい、そこまで」
俺たちの間に割って入ったのは、リュウ。
年齢は二十歳。紺の髪を風に揺らし、切れ長の深い紺色の瞳で俺たちを交互に見た。
「仕事からなかなか帰って来ないと思えば…またコレか」
全く、というように深いため息を吐くリュウに、ローアンが苦笑する。
「悪い。つい、な。まぁでも、戦利品は申し分ないから安心しろ」
えへん、とわざとらしく胸を張り、ローアンは大きなバッグを持ち上げた。
金属同士のぶつかり合う音が、布越しでもはっきりと聞こえる。