世界の果てに - 百年の光 -
輝かしい金属が散りばめられた、短剣。
これをどうしろと言うんだ、という目でリュウを見上げる。
「はは、これ、エルに渡してくれって頼まれてさ」
「……誰に」
「我らが大将に、だよ」
ウインクを投げられ、俺は瞬きを繰り返した。…ローアン?
「何でローアンが…」
「分かんないけど、みんなにバレないようにってさ」
眉を寄せたまま、俺は先頭を歩くローアンの後ろ姿を見た。
これは、戦利品の一部だ。それを一体…何考えてんだあのオヤジ。
「そんな視線送ってやるなよ、エル。育て親からのプレゼントだろ」
「さぁな。お前は長剣より短剣で十分だっつー意味じゃね」
「短剣だって立派な剣だろ?…たく、素直じゃな…痛っ!」
リュウの長い脚を蹴っ飛ばし、俺は短剣を胸元に収めた。
ひやりとした感覚が、布越しに伝わってむず痒い。
…その時の俺は、まさかこの短剣に感謝する日がくるとは、思ってもいなかった。