世界の果てに - 百年の光 -

時は経ち、ある日のこと。


俺たちはとある街の外れ、森の一角に拠点を定め、活動していた。


「エル、不機嫌だな」


肌寒い気温が続く中、焚き火で暖をとっていると、リュウがそう言った。


俺は何も言わず、隣に座るリュウに視線を向ける。


「昨日のこと、気にしてるんだろ」


「別に」


「別にって言うなら、眉間のシワどうにかしろよ?」


素っ気なくしてみると、そう言い返され、苦笑までされた。


このヤロウ、大人の余裕ぶりやがって。



―――昨日、俺たちは奇襲にあった。


敵はこの周辺では名の知れた山賊で、俺たちに縄張りを荒らされたと言って乗り込んできた。



数では向こうが上回ったものの、実力は俺たちの方が強く、勝負は長引かなかった。


……けど。


「仕方ないさ。まだ実戦経験は浅いんだし…な?」


「………」


俺はその時、全く役に立てなかったんだ。

< 344 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop