世界の果てに - 百年の光 -
リュウに言われた通り、俺は月の咆哮に入ってから、実戦経験は浅かった。
それでも、昨日は今までの戦闘とは違った。
あんなに足がすくんだのは、あんなに恐怖を感じたのは、初めてだったんだ―――…
「ちゃんとローアンに礼言っとけよ」
俺の頭をポンと叩くと、リュウは腰を上げて立ち上がった。
見上げる俺に微笑んでから、他の仲間の元へ行ってしまう。
…一人でよく考えろってことだろ。
立ち竦んでいた俺は、敵に狙われて、間一髪の所でローアンに助けられた。
礼を言わなきゃいけないのに、咄嗟に口を突いて出たのは、別の言葉だった。
―――――『余計なことすんなよ!』
その時のローアンの表情が、頭から離れない。
傷付いたような、苦しそうな顔。
あれから俺は、ローアンと一言も口を利いてない。