世界の果てに - 百年の光 -
どくん、と心臓が大きく揺れ動いた。
「―――…嘘」
咄嗟に出た言葉に、エルが眉をひそめる。
「何が。そういうことだろ」
「だ…だって、ティアラは殺すなんて…」
「ティアラ?」
驚いたような反応を示すオーガに、あたしは軽く説明した。
五十年前生け贄となったティアラに異空間で会い、あたしが生け贄とならずに済む方法を、教えてもらったことを。
「……そっか」
何とも言えない表情で、オーガは深いため息をついた。
「俺が想像してた以上に、現実は甘くないんだな…」
「……オーガ」
「んな顔すんなって!アスティ」
眉を下げたアスティに、オーガは笑った。
それが自然と零れた笑顔だとは、あたしには思えなかったけれど。
「俺の気持ちは、変わらない。この世界を…救いたいんだ」
―――でも、強い人だと思った。