世界の果てに - 百年の光 -

フィオ、って人なんだ…


「女の人?男の人?」


「男。歳は…リオちゃんに近いんじゃねーかな」


あたしと近いのに、そんなに高度な魔術がかけられるなんて…すごい。


なんて、感心してる場合じゃないけど!


「で、このお馬さんはフィオと何のつながりがあんの?」


「あ…」


そう言えばあたしたちは、クリスが元は人間だったということしか知らない。


クリスが話したくなさそうだから、無理に聞くのもなって思ったんだけど…


『…私は、気付いたらこの姿になっていました。誰に魔術をかけられたにせよ、その理由すら分かりません』


そう言ったクリスの瞳は、とても悲しそうだった。


「気付いたら、ねぇ…アイツはそんな誰彼構わず魔術を使うような奴じゃねーけど…」


うーん、と唸りながら、オーガが顎に手を添えた。


クリスが馬に変えられたことと、あたしが生け贄として呼ばれたこと…この二つに、意味はあるのかどうか。


「そんなん、本人に聞くのが一番早いだろ」


エルがこれまた偉そうに、ため息と共に言う。

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