世界の果てに - 百年の光 -
オーガはあたしの頭から、自分の顎へと手を移動させた。
「そうだな…一ヶ月後、アメルティカ城下町にある、古本屋で落ち合おう」
「古本屋で?」
「ああ。そこの主人は、ちょっとした知り合いでね…時間は夕刻にしよう」
「…分かった。じゃあ、六時で」
「了解」
オーガは頷いたあと、あたしたちを順に見ると、小さく笑った。
「どうしたの?」
あたしが首を傾げると、「いや、何でもない」と言いつつ肩を揺らすオーガ。
エルがイライラしたように、乱暴に言い放った。
「いいから、お前はさっさと行けよ。居場所がバレんだろ」
「うわ、冷たいなー」
それでも、どこか楽しそうにオーガは片手を挙げる。
「じゃあ、また会おう!」
そう言って、小走りで去っていくオーガの後ろ姿を、あたしたちは黙って見送った。
心の奥に灯った、小さな明かりに希望を託して―――…