世界の果てに - 百年の光 -

オーガはあたしの頭から、自分の顎へと手を移動させた。


「そうだな…一ヶ月後、アメルティカ城下町にある、古本屋で落ち合おう」


「古本屋で?」


「ああ。そこの主人は、ちょっとした知り合いでね…時間は夕刻にしよう」


「…分かった。じゃあ、六時で」


「了解」


オーガは頷いたあと、あたしたちを順に見ると、小さく笑った。


「どうしたの?」


あたしが首を傾げると、「いや、何でもない」と言いつつ肩を揺らすオーガ。


エルがイライラしたように、乱暴に言い放った。


「いいから、お前はさっさと行けよ。居場所がバレんだろ」


「うわ、冷たいなー」


それでも、どこか楽しそうにオーガは片手を挙げる。


「じゃあ、また会おう!」


そう言って、小走りで去っていくオーガの後ろ姿を、あたしたちは黙って見送った。


心の奥に灯った、小さな明かりに希望を託して―――…



< 374 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop