世界の果てに - 百年の光 -
口角が上がったままのあたしを、エルが眉間にシワを寄せながら見ている。
それでも、その表情はどこか柔らかく思えた。
「ありがとう、エル」
「…別に」
素っ気ない返事だけど、あたしには分かる。
素直なあたしに戸惑って、照れて。でもそれを、必死に隠してるんでしょう?
…そういえば、いつからあたしは、素直にお礼を言えるようになったんだろう。
「あ…」
思い当たることがあって、声を漏らした。
エルの眉間のシワが、さらに深くなる。
「何だよ」
「あ、や、えっと…」
あたしは咄嗟に誤魔化しきれず、もごもごと口ごもった。
だって思い出したのは、エルと片手が手錠で繋がれたときのことで。
あのときの女頭が、エルを苦しめたわけだし…それを口にしたら、良い思いはしないなと感じたから。
「つ、月の咆哮って、何でみんなに恐れられてるの?」
―――ああ。あたしの、ど阿呆。