世界の果てに - 百年の光 -
あたしが何も考えずに口にする言葉は、いつもエルに複雑な表情をさせる。
「それは…」
「わああ!ごめん!今のナシ!」
慌てて首を振って否定すると、エルは苦笑する。
「別に、嫌な話じゃねぇよ。ただ何の脈絡もないお前の質問に、驚いただけだ」
「すみません…」
「恐れらるてる、ねぇ…俺たちが強かったからじゃねぇの」
サラリとそう言ったエルに、あたしは項垂れていた顔を上げる。
燃える薪を見つめるその瞳が、一瞬同じように燃え盛って見えた。
「俺たちは盗んだけど、時に自分たちの為で、時に他人の為だった」
「…他人の?」
あたしに向けたエルの瞳は、元々知っている、綺麗な琥珀色だった。
「誰かから盗まれた物を、盗み返す仕事もしてたんだよ」
それって…つまりは人助けってこと?
てっきり、盗賊だから物を盗んで、お金に換えてるだけかと思ってたけど。